アニメ『サマータイムレンダ』毎秒毎分が最高に面白かったが…ラストだけ…。
こんにちは!lenoreです。
今回は、夫に勧められて観たアニメ『サマータイムレンダ』(全25話)について書こうと思います。
このお話、本っ当に難しかったです!
メモをとりながら巻き戻ししながら、なんとか理解していった感じでした💦
ものすごく難解なのに、ものすごく面白い!
「こんなに難しくて面白い話どう終わるんだろう?」と気になっていた私に
「最終話でちゃんと回収されるから大丈夫だよ」と夫は言っていたんですが…
確かに回収はされたものの…わたし的には逆に最終話だけが違和感というか…
「こういう終わり方かー!」という気分になりました。
後悔しないように
【この段落以後、内容について言及があります】
私は、映画でも本でも何でも、作品を鑑賞した後に
「このお話はどんなことを伝えたかったのかな?」と考えるタイプなのですが、
サマータイムレンダ全25話を観終えて頭に浮かんだのは「後悔しないように」というこ言葉でした。
やらずに後悔より、やって後悔
主人公の網代慎平は、幼馴染の小舟潮の葬儀のために、2年ぶりに和歌山県の日都ヶ島へ帰郷します。
「絵のタッチは爽やかだけど、冒頭から幼馴染の葬儀参列か…なかなか重めだな🤔」
…などと思いながら観始め、お話はあれよあれよと超ダークな世界観へ。
何度も繰り返す7月22日ループの中、慎平は頻繁に「俯瞰しろ、俯瞰するんだ」と自分に言い聞かせます。
これは、状況に困惑した時や、ハイネやシデとの戦いの中で窮地に陥った時によく出てきて、
自分が死ぬことで可能なループに限界(観測限界・イベントホライズン)が近づくほど、
慎平のモノローグが増えて俯瞰することをより意識しているように見えました。
このお話の中での、
●自分もループし、敵もループする。
●自分には限界点がある。
●次のループに入ってしまう前・限界を迎えてしまう前に、俯瞰して考え、出来るだけ情報を集めたい。
これって、私たちの人生の中での、
●自分は生きていてずっと存在しているし、自分が対峙しなければならないものや人もずっと存在している。
●自分には死という限界点がある。
●死という限界を迎えてしまう前に、出来るだけやれることをやろう=後悔しないように生きよう。
…と近いですよね🤔✨
「後悔のないように生きる」というのは、分かっていても難しいことかも知れませんが、
こんなに大変なループを目の当たりにしてしまうと、ちゃんと意識しなきゃなぁと思っちゃいます💦
他者への情
後悔がないように…というような思いが生じる(発動する?)きっかけって、
総じて恋愛感情・友情・家族への愛情など、いろいろなタイプの「他者への情」なのかなと思います。
この視点で考えると、
●慎平は潮の反対を振り切って、島から出て東京の料理学校へ行ってしまった。手作りのカレーをごちそうすると約束していたのに2年ぶりの再会は彼女の葬儀となってしまった。
●潮は慎平のことが好きだったのに、自分の反対を振り切って東京へ行くと決めた慎平に腹を立てていた。だから慎平が島から出ていく時に敢えて見送りに行かなかった。そしてこれが最後となってしまった。
●飢饉で沢山の人が餓死する中、夏になりお父さんもお母さんも兄弟もみんな死んでしまったハイネ(波稲)。ハイネは、家族で居たい・居たかったという思いから、自分と背格好が近く父と母と楽しそうに暮らしている小早川しおりをターゲットにした。
●元々いた海の奥底の影の国から地上の海岸に打ち上げられてしまった蛭子様(くじら)。蛭子様は、影の国へ帰りたい・影たちがいる故郷に戻りたいという思いから、帰る力を蓄えるために、神社での大虐殺によって大量の人を消そう・それによって力を得ようとする。
…など、各々が「他者への情」によって、後悔や願望などさまざまな感情で動いているなと分かります。
例外が一人…
この「他者への情」に唯一あてはまらないのが、シデ・菱形紙垂彦です。
彼は300年以上前から生きていた人で、元々はハイネ(雁切波稲)の守護者でした。
彼の願望は「自分が長生きしたい」ただそれだけ。
そのために彼はハイネと交わり子どもを産ませ、ハイネ経由で自分の記憶を子どもに移植させます。
それを繰り返すことで、クローンのようにずっと若い見た目のまま生きてきました。
その上「神の夫」を自称し、雁切姓を名乗り始めます(現世での紙垂彦の名前は雁切真砂人)。
挙句の果てに、ハイネの体がもう弱りすぎてしまって
代々続いてきた"クローン紙垂彦"の生成は雁切真砂人で終わりだと知り、涙を流す…
「慎平たちは命をかけて他の誰かを救うためにループしているのに、どんだけ自己中なのこの人!!」
…と思わず叫んでしまいました😂笑
私、シデの「俯瞰が足りんかったんと違います~?」「なぜそこまで頑張ります~?」みたいな
ちょっと人を食ったような話し方がすごく嫌だなと思っていたんですが、
嫌いなのはお前の言葉だ。人は言葉をもつ。語彙だ。いかに言葉を使うかは人間性が決める。意味など理解できまいよ。何百年生きようがお前にはな。 ー 第20話『All is (not) lost.』より
南雲先生がシデに対してこう言葉をかけるシーンがあり、
「南雲先生!!私が思っていることと一言一句一緒です!言葉にしてくださってありがとうございます!!」となりました笑。
まぁでもここまで神経を逆なでされるということは、
南雲先生が言われている通り、シデの人間性がかなり自己中ということの現れなのかも知れませんし、
これこそが物語の悪役としてふさわしい姿ということなのかも知れません。
そして言わずもがな、シデのcv小西克幸さんのお芝居が素晴らしいということだと思います。
最終話だけが…
誇張なく毎秒毎分が面白かったお話なので、終わり方が気になっていたんですが、
最終話25話『「ただいま」』だけが…ちょっと肩透かしをくらったような…なんとも言えない感情になりました🤔
結局「全ては最悪な夢だった」というもので、
●影の存在自体
●同じ様な夢を見ていた慎平と潮が俯瞰する「目」を持つ者=観測者となったこと
●戻れる地点がどんどん手前になっていたはずなのに、なぜ再びもっと過去までループできたのか
●そもそも紙垂彦ミイラのような姿になっても自我を移し替えながら生きることが可能なのか
●南雲先生もコピーされたはずだけど影が一切出てこないのはなぜか
…など、この辺のことが全て「夢でした」で辻褄があいますし、
お話としてはハッピーなエンディングだったのでとても嬉しいのですが、
「物語の流れ」という点で、少し私には平和すぎたのかなという気がしました(予定調和な感じ)。
でも、鑑賞後に他の方のレビューを見てみたら、良いエンディングだったという方が大半で、
疑問をいだいているような人はほぼゼロだったので、多分私が少しひねくれてるんだと思います😗😂笑
ちなみに…私が考えたエンディングは…
第25話と同じく船の地点まで戻って、島に帰ってきた理由も、
お祭りでの色んな人が描写されているところもそのままで、
ただ、
時折慎平は右腕(ハイネに印をつけられた腕)に痛みを訴え…
潮も誰かにツッコミを入れる時に髪の毛を振ろうとして「あれ?」となる…
夏祭りでたこ焼きを一緒に食べる慎平と潮…
その二人をタカノス山の一本の木に止まったカラスが見つめて…
ハイネの声で「探したぞ…もう逃さん…」とカラスが話す…
スパーン!っとここで終わる
こんな感じ。
本当に夢だったのか、それとも今も夢なのか、はたまたずっと現実なのか…
美しい絵のタッチとは対象的に内容がかなり本格的なSFホラー作品だったので
こう思わせる感じで終わるのも、ありかもと思いました。
まとめ
クリストファー・ノーラン監督の映画『インセプション』や『TENET/テネット』以来、久々にメモをとりながら鑑賞した作品でした。
ずっと「うーんと…えーっと…」言ってた笑。
難解だけど、目が離せないくらい面白い。
この2つが両立している作品を観ることができて、とても幸せでした。
何かの合間で気楽に観られるようなタイプの作品ではないし、
万人におすすめできるかと言われたらちょっと難しいのですが、
これほど綿密に緻密に完璧に近い形で作られた作品はなかなか無いと思うので、
いろんな方に是非観ていただきたいなと感じました!
「うーん…うーん…」「えっ!!…えっ!!」を連発することになるかと思いますが笑…おすすめです☆
作品詳細
原作…田中靖規
監督…渡辺 歩
制作…オー・エル・エム
●網代慎平…花江夏樹
●小舟潮…永瀬アンナ
●小舟澪…白砂沙帆
●南方ひづる…日笠陽子
●根津銀次郎…浦山 迅
●菱形窓…小野賢章
●菱形朱鷺子…河瀬茉希
●菱形青銅…大塚明夫
●小舟アラン…玄田哲章
●凸村哲…上田燿司
●雁切真砂人…小西克幸
●小早川しおり…釘宮理恵
●ハイネ…久野美咲
●南雲竜之介…三瓶由布子
…他。
(参考:アニメ『サマータイムレンダ』 公式サイト )
読んでいただきありがとうございました!