アニメ『刻刻』カヌリニもタマワニも強いけど佑河家が1番強いよ!
こんにちは!lenoreです。
今回はアニメ『刻刻』(全12話)について書こうと思います。
動画配信サイトで、以前観たアニメ『サマータイムレンダ』の関連で出てきて気になっていた作品でした。
特殊な世界観 × 赤裸々な人間の感情
事前知識が全く無い状態で観たので、最初の数話は
●神ノ離忍(カヌリニ)
●霊回忍(タマワニ)
●止界(シカイ)…など、次々に出てくる特殊な用語を
「カヌリニ…あぁ…頭がブロッコリーみたいなでっかい怖いやつね🤔」と頭で変換しながら鑑賞していました。
この辺りが難しいは難しいんですが、全く馴染みのない世界観の中で、
「あぁ…ちょっとは分かるかも…でも実際にはやらないけどね」というような
ほんの少し共感できてしまう人間の赤裸々な感情を描いているのがすごいなと感じました。
“特殊な世界で人間ドラマが繰り広げられる話"は他にもたくさんあると思うんですが、
ホワイトやグレーの感情だけじゃなくて、結構ダークな感情も表現されているのがリアルでいいなと思います。
いろいろ強い、佑河家の面々
【この段落以後、内容について言及があります】
序盤はカヌリニの見た目が恐ろしかったり、残酷な描写があったりで、
「止界って怖い!」という印象をまず受けたんですが、
話数が進むにつれ「ん?一番強いのって佑河家の面々じゃない?」と感じるようになっていました笑。
ポジティブな強さ
というのも、止界に入った佑河家の面々は、
●主人公・佑河樹里
→責任感が強く、やると決めたらやる。慣れない状況にもくじけない芯の強さがある。
●じいさん(樹里のおじいちゃん)
→ちょっと頑固だけど、いざという時頼りになるし強い。そして家族思いで優しい。
●佑河 翼(樹里の兄)
→ひきこもりでニートな面はいろいろ事情があると思うので別に気にならなかった。むしろ火事場の馬鹿力で真を守ったシーンでは頼もしさを感じた。真の将来を心配する描写も翼の心優しい部分が出ていると思った。あとは自信をどう取り戻すかだけだった人という印象。
●佑河 真(樹里の甥っ子)
→一家の癒やし。子供らしい面がありながら、倫理観もしっかり身についており、特殊な場面に遭遇しても意外と冷静。「母である早苗さん(樹里の姉)の教育が素晴らしいんだろうな」と親目線で見てしまうほどいい子。
みんな強いし、かなり個性的な面々に見えるけど、
結構普通=こちらがスッと共感出来るような自然な感情をもった人たちだなと思いました。
第1話にて、就活中の樹里が「お父さんはリストラ、お兄ちゃんはニート、お姉ちゃんは父親が誰かも言わず一人で真を産んで…。この家に残るメリットある?」と佑河家の残念さを語っていましたが、
さり気なくお互い協力し合って止界を生き抜いていて…いい家族じゃない?と感じたくらいでした🤔✨
ネガティブというか…ちょっとヤバめ?な強さ
ただ、一人だけ「ちょっとこれは別方向の強さだな💧」と感じたのが…樹里の父・佑河貴文です。
全然頼りにならないのに威勢だけいいから困りもの。その時ごまかせればイケると思っているふしがあり、多分本人はそんなに悪いと思っていないから余計に難しい。家族のことを大切にしている気持ちは伝わるが、「家族にとって良い」を建前に「自分にとってより良い」と思える方向に行きがちなのが厄介…。
(自分の父親にちょっと似ていて😑となっちゃいました)
そして一番ヤバいのが、何の躊躇もなく本当の殺意を出せる=カヌリニをすぐに呼べるというところ🤔💦
家族を助けたいという強い思いがある間島でさえカヌリニを呼び出すのに苦労したくらいなのに、貴文はスッと来てサクッとできてしまう…。
真を助けるために敵を殺めてしまった翼がカヌリニになりかけるほど茫然自失になったくらいなのに、貴文は「俺がやってやったんだぞー!」という英雄感…。
自分がやりたい実験のためにスッと出来てしまう佐河ともまた違って、貴文は日常の顔のまま出来てしまう…。
真とデパートに行ったシーンでも倫理観の薄さが描写されていましたし、
(商品をもらうならお金を置いていかないとと真に諭される)
貴文は特に止界に留まってはいけない人だなと思いました💦
第12話(最終話)のエンディングで貴文がしっかり主夫をしている描写がありましたし、
一家の大黒柱として多少頼りない部分があったとしても、彼はその環境の方が良いだろうなぁ…。
根っからの悪い人ではないと思うので、「環境」が大事そうな人だなと感じました。
樹里と佐河 ー 最終話ラストシーン
第11話にて、栄養が足りなくなった佐河(の脳と目玉と臓器をおおもとにしたカヌリニ)の意識に触れた樹里は、
佐河にも、宗教家の家に生まれた苦しさ=家族への複雑な思いがあったんだなということを知ります。
そんな佐河を自分の子どもとして育てる決意をした樹里を見て
「え?未来の更にその先まで見届けたい・知ってみたいという自分の願望だけで佑河家に大迷惑を掛けた張本人なのに、その決断が出来るの?すごいわ樹里ちゃん…肝がすわってる…😳💦」と、
正直びっくりしてしまいました。
更に、赤ちゃんの状態で生まれ変わった佐河を止者にするには、
首がすわる頃にならないとその衝撃に耐えられないため、約半年の間、止界の中で佐河を育てることにする…
しかも途中からはじいさんも送ってしまった(止者にした)ので、止界に赤ちゃん佐河と2人きり…
樹里ちゃん…自分で石を割ったから自分だけ止界から出る術がなくなってしまったたとはいえ、背負いすぎだよー😭😭
でも、
●最終話のラスト。樹里が畳の上でうつ伏せで寝ているのを見て、少し大きくなった佐河が「そんなところで寝てたら首いたくなっちゃうよ、ママ」と言うシーン
●第1話の序盤。就活の面接を終えて疲れた樹里が畳の上でうつ伏せで寝ているのを見て、じいさんが「そんな寝方しとったら首痛めるぞ」と言うシーン
ここがうまくリンクしていて「樹里に大切に育ててもらって、佐河もじいさんみたいに優しい人になったんだな😭✨」と、ホッとするような気持ちになりました。
日常と止界
私たちの日常の空間を横向きにスパッと切った or 切っている最中の断面が止界だとして
止界での物の動きや力を持った人の動き(はしごを渡ろうとした間島さんなど)も考慮に入れると、
止界は、完全に止まった世界というよりは、普段生活している空間よりものすごーーくゆっくり時間が流れている世界なのかなと感じました。
ということは…「日常」と「止界」との違いは時間の流れ方だけ=場所は一緒だとすると、
●止界では動けない止者(日常でいうと亡くなった方)への殺意を見せると現れるカヌリニ…
●止界が発生すると、日常に普通に現れるタマワニ…
これって「日常」でいう亡くなった方の霊魂的なものと考え方が近いんじゃないかなと思いました。
(例えば、墓地で遊ぶな=死者を冒涜するような行為はいけない=たたりにあうぞ…とか)
『刻刻』の原作漫画が発売された時に、帯コメントとして水木しげる先生が賛辞を書かれていたと鑑賞後に知り、なるほど🤔✨となりました。
まとめ
「相当仲が良い人くらいにしか話せないような、家族間のこういう感情分かるわー」
「流石に倫理観はちゃんとあるから実際にはやらないけど、気持ちだけは一瞬分かるわー」
「なんだかんだ家族って、いがみ合いつつ前に行けるもんなんだよな不思議と…超めんどくさい部分あるけど」
こういう一言二言では言い表しにくい人間の赤裸々な感情を、
独特な世界観と緻密な構成の中で一緒に描いているところが本当にすごいなと思います。
幼少期の佐河が親の真実を見てしまったシーンや、
悟られないよう普段通りに過ごした樹里がスパッとじいさんを送ったシーンなど、
個人的にすごく刺さった場面がたくさんあり、泣けるところも多かったです。
ただ、このお話の中で間島さんやマリヤさんの立ち位置が少し特殊で、
樹里や佑河家全体とも因縁がある重要なキャラクターなので、
その辺を掘り下げるパートがもう少しあっても良かったのかなとちょっと思いました🤔
間島さん樹里にもっともっと確執があった上で、それを乗り越えて協力し合うとか?
(でも佑河家基本みんな優しいしいい人だから、どういう形になったとしてもすぐ協力しそうだな笑)
キャラクターの背景が見えてくると、人間ドラマとして見ることもできる(感情移入できる)ので、
難しい用語や世界観は「へぇー」くらいの気持ちで観て、
各キャラクターの言葉や表情、所作の方をしっかり見るとより楽しめるんじゃないかなと思います。
作品詳細
原作…堀尾省太
監督…大橋誉志光
制作・製作…ジェノスタジオ、ツインエンジン
●佑河樹里…安済知佳
●じいさん…山路和弘
●佑河貴文…辻谷耕史
●佑河翼…野島裕史
●佑河真…岩田龍門
●佐河順治…郷田ほづみ
●潮見…内田夕夜
●迫…吉野裕行
…他。
(参考:アニメ『刻刻』公式サイト, 原作漫画 Amazon ページ )
面白かった!!原作もいつか読んでみたいです!!
読んでいただきありがとうございました☆